私は小説家になりたかった
のか?
昔から夢想が過ぎる方だとは思ってはいたけれど、今になってふと振り返ると私は小説家になりたかったんだろうか?
なれるかもしれない、くらいに思った時期は多少はあるけれど、なりたいと思った時期はよく考えたら無いかもしれない。
私は努力ができるほうではないけれど、文章を書くのは苦にならなかった。これが才能かと言われたらきっとそうではなくて、惰性なんだと思う。
私は小説家になりたかったわけではない。小説家は夢ではなかった。
なりたいと思って努力したことはないし、なりたいと思ってなにか書こうとしたこともない。こんなことを考えている今も、小説家に自分がなることははっきりと無理だと思っている。難しい、ではなく無理だ。
無理な理由は明確で、努力ができない……もっとはっきりと言葉にするなら飽きずに書き続けることができない。
自分がぼんやりとやりたいと思っているんじゃないかと思っていたことが実はそうではないとわかって数日、夢をあきらめたのではなく納得した。納得して置いておくという選択肢を選ぶことができた。これは大きな一歩なんじゃないかと思う。
私は小説家になりたかったわけじゃない。
選択肢のうちの一つがちゃんと終わってよかった。